成年後見人等に就任すると後見登記申請や後見登記事項証明書を取得することがあります。管轄登記所は東京法務局ですが、熊本第二合同庁舎3階にある熊本地方法務局戸籍課(他都道府県でいうところの本局)で手続をすることもできますし、郵送ですることもできます。
後見登記事項証明書を取得する場合には申請書に550円の収入印紙を貼付して申請しますが、オンライン申請だと380円(紙の証明書・郵送料無料)の電子納付と安くなり、収入印紙を買いに走る・熊本地方法務局戸籍課(他都道府県でいうところの本局)への提出等の手間・時間も省くことができます。
また、被後見人等の住所変更の場合の変更登記や被後見人等死亡の場合の終了登記では、法務局において住民基本台帳ネットワークを利用して住所変更の事実・死亡の事実を確認することができるときはそれぞれ添付書類を省略できますので、オンライン申請をするメリットがあります。
しかし、司法書士が登記業務で電子署名する「司法書士電子証明書」には成年後見人等の住所情報が格納されていないので成年後見登記のオンライン申請で使用することができず、マイナンバー(個人番号カード)のような「公的個人認証サービス」に係る認証局の電子証明書等が必要になります。
※平成28年5月17日マンガ3ページ目追加
マイナンバーカードを取得していましたので、成年後見登記の手続をオンライン申請でチャレンジしてみました。
マイナンバーカードで電子署名するには他に以下の2つが必要になります。
(1)「ICカードリーダライタ」の準備
(2)「利用者クライアントソフト」のダウンロード・インストール
(1)については、以前「司法書士電子証明書」がICカードだった時代に使用していたカードリーダーを持っていたのですがマイナンバーに対応していなかったので、Windows10対応の非接触型ICカードリーダーライターを購入しました。
なお、平成29年1月よりマイナンバーカードに対応したNFC (Near Field Communication)スマートフォンであれば、ICカードリーダライタの代わりにパソコンに接続して公的個人認証サービスを利用することができるようになったようですので、ICカードリーダーライターを購入する必要がない場合もあるかもしれませんね。
※平成28年5月27日マンガ4ページ目差し替え
(2)利用者クライアントソフト(JPKI利用者ソフト)は公的個人認証サービスを利用した行政手続き等を行うときにマイナンバーカード等に記録された電子証明書を利用するために必要なソフトウェアですが、ICカード内に格納されている情報を確認したり、動作確認をすることもできます。
地方公共団体情報システム機構「公的認証システム」ポータルサイト(https://www.jpki.go.jp/)でダウンロードできます。
ここまで準備できて初めてマイナンバーカードで電子署名することができるようになりますが、結構時間と手間がかかます。
※平成28年5月28日マンガ最終ページ差し替え
さて、成年後見登記のオンライン申請についてですが、登記・供託オンライン申請システムのホームページ上で提供されている「申請用総合ソフト」を使用する場合に注意すべき点があります。
①電子署名する前に、「ツール」から「オプション」を選択し、
②「ICカード切り替えタブ」を押して、「使用するICカードライブラリ」から「公的個人認証サービス(個人番号カード)」が選択されているのか確認する必要があります。
Windowsがアップデートされると電子署名のときに「電子署名が失敗しました。」等の表示が出ることがあります。
その際には、以下の記事を参考にして「.reg ファイル」をダウンロードし実行すると電子署名ができるようになり、この方法をとって電子署名ができました。
登記の完了通知をメールで受けることができますし、後見登記事項証明書のオンライン申請では証明書が郵送されて手元に来るのに数日かかりますがとても便利ですので、もしマイナンバーカードを持っておられる方は利用してみてはいかがでしょう。
平成29年12月11日 リライト