【ブログ2ページマンガ】司法書士の視点 ~抵当権抹消登記~

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 住宅ローン等の支払が完済すると、銀行から「担保権抹消登記」に関する書類が手渡されます。銀行の手を離れて「抵当権抹消手続」は土地・建物所有者の手にゆだねられます。

 完済したからといって土地・建物についている抵当権の登記が自動的に抹消されるわけではありませんので、土地・建物所有者が抹消手続をしない限りそのまま残っていきます。

 放置していると銀行からもらった「担保権抹消登記」に関する書類の有効期限が切れて、銀行に取り直しを依頼しないといけないことがありますので注意が必要です。

 

☆抵当権の場合

・抵当権解除証書等

(司法書士は「登記原因証明情報」と認識する。)

・抵当権設定契約書

(「登記識別情報通知書」が付いてくることがある。)

・委任状(銀行からのもの)

 

※登記識別情報とは,権利証(登記済証)に代えて法務局で発行されるアラビア数字その他の符号の組合せからなる12桁の符号です。不動産の名義を変える時に使うパスワードのようなイメージでしょうか。

 

 銀行員で知らない方にも知ってもらいたくて、急ぎマンガを作りました。

 

司法書士が「抵当権抹消登記」と聞いて まず気になる点
①土地所有者の登記事項証明書上の住所が変わっているか?

②抹消する不動産の個数は?

③抵当権者が会社の場合、会社法人等番号はあるか?

 

 この3つがわかれば、登記申請の段取りの全体的イメージが分かります。

 

①の点は、抵当権抹消登記だけをすればよいのかがわかります。

 もし、登記事項証明書(昔風にいうと登記簿)上の住所等の変更があれば、抵当権抹消登記をする前に「登記名義人住所変更登記」を入れないといけませんので、その報酬・登録免許税が別途必要になります。また、その住所変更が証明できる公的な書類(住民票等)が必要になります。

 したがって、住所等の変更がある場合には「登記名義人住所変更登記」の報酬・実費等を見積もりをする際に加算することがあります。

 

 余談になりますが、熊本市は平成24年4月1日より政令指定都市に移行し、区制施行による行政区画の変更が行われました。

 何のことかわかりにくいと思いますが、私の事務所を例にご説明しますと、私の事務所は平成24年4月1日より前は「熊本市薄場1丁目1番48号」でしたが、それ以降は「熊本市南区薄場1丁目1番48号」と変更になりました。つまり、これまでの住所等に東西南北のうちの1つ「○区」がついた表示に変わってしまったということです。

 

 したがって、住所の変更の場合は不動産登記をする際には原則として「登記名義人住所変更登記」をする必要がありますが、「○区」がついた表示になった場合は不動産登記規則92条により例外的に行政区画又はその名称について変更の登記があったものとみなされるので、「登記名義人住所変更登記」をする必要がない場合があります。

 

②の点は、見積もりを作成する際の登録免許税の額がわかります。

抵当権抹消登記でかかる登録免許税は、不動産の個数 × 1,000円 ですね~

 

③の点は、抵当権者が法人の場合は資格証明情報の提供に代え、原則として申請情報に会社法人等番号を記載することになったことと関係があります。

 不動産登記令等の一部を改正する政令(平成27年政令第262号)及び不動産登記規則等の一部を改正する省令(平成27年法務省令第43号)により法人の資格証明情報の取扱い等が変わり、会社法人等番号を記載すれば資格証明書を提出しなくてよくなりました。なお、代表者の資格を確認することができる「作成後1か月以内の登記事項証明書」を提出した場合には,会社法人等番号の記載はこれまでどおり不要です。

 

 ①②③が分かってはじめて、司法書士は登記申請についての見積もりや全体の流れを相談者等に話すことができます。

 

 

 その他にも細々と確認すべきことがありますが、以下のような点があるでしょうか。

・抵当権解除証書等の、解除の日付

 (記載されていない場合がある。)

・土地・建物所有者の本人確認・意思確認

 (生存していなければ相続登記が必要)

・登記事項証明書

 

 

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